夏場の作業現場で活躍する空調服。中でもサイドファンタイプは、背面に比べて背もたれや壁に当たりにくいという利点があります。
しかし、実際に使ってみると「ここは少し不便だな…」と感じる場面もあります。
そこで今回は、サイドファンの代表的なデメリットを3つにまとめました。
いずれも工夫次第で解消できるものなので、購入前の判断材料にしてください。
デメリット | 内容 | 対策の可能性 |
---|---|---|
粉塵や火花を吸い込みやすい | ファン位置が横側のため、周囲の粉塵や火花が入りやすく、故障や安全性に影響する恐れがある | 防塵フィルターやカバーで軽減可能 |
腰回りの道具や荷物と干渉する | 工具ベルト、除草剤タンク、腰袋などがファンに接触し、風量が落ちることがある | 道具の配置を工夫したり作業時に着脱で対応 |
座位や前かがみ時に風の流れが変わる | サイド位置のため、姿勢によっては風の循環が偏り、涼しさが変わることがある | ゆとりのあるサイズを選ぶ ハイバックタイプを選ぶ |
こうして見ると、サイドファンの弱点は「位置による影響」がほとんどです。
ただし、現場環境や作業姿勢に合わせた工夫をすれば、快適さを保ちながら長時間使用することも十分可能です。
次の章では、それぞれのデメリットをさらに深掘りして解説します。

空調服サイドファンの主なデメリットと対策
粉塵や火花を吸い込みやすい
サイドファンタイプは、腰回りの横方向に吸気口があります。そのため、周囲の粉塵や小さなゴミ、場合によっては溶接時の火花などを吸い込みやすい傾向があります。
吸い込んだ粉塵が服の中で舞ってそれを吸ってしまったり、火花の場合は、衣服を焦がす危険性もゼロではありません。
「でも、そうなると現場で使えないのでは…?」と思うかもしれませんが、防塵フィルターやメッシュカバーを装着することで大幅に軽減できます。フィルターは1,000円前後から市販されており、取り付け・取り外しも簡単。こまめな掃除と併用すれば、粉塵の影響は最小限に抑えられます。


自分は除草剤など薬品を使うときは空調服を脱いで対応してます
腰回りの道具や荷物と干渉する
特に現場作業では、工具ベルトや腰袋、除草剤タンクなどを腰回りに装着して作業することが多いと思います。サイドファンはこの位置にあるため、物理的に干渉しやすいのが弱点です。
こうした干渉は、道具の配置を左右に分ける、腰ベルトの高さを少しずらす、作業によっては空調服を一時的に脱ぐなどで回避可能です。「道具の方を変える」という発想を持つだけでも、快適さがかなり違ってきます。

姿勢による風の流れの変化
サイドファンは、姿勢によって風の通り道が変わりやすい構造です。
立っているときは胸から背中全体に風が回りますが、前かがみや座位になると服の内側がつぶれて風の流れが偏り、上半身の一部しか涼しくならないことがあります。
特に前傾姿勢が長く続く作業(農作業、配線工事、低所作業など)では、このムラを感じやすいでしょう。
対策としては、ゆとりのあるサイズを選ぶことです。空調服は仕様上、腰部分が絞られる設計になっています。サイズがぴったりすぎると、動作中に服が上にずり上がり、腰回りのファンが道具や荷物と干渉しやすくなります。
ワンサイズ上を選ぶことで服の内部に空間が生まれ、風がスムーズに循環します。涼しさを保つだけでなく、干渉トラブルの軽減にもつながります。

ハイバックタイプの空調服を検討する
干渉や風のムラが気になる場合は、ファン位置が背面寄りに配置された「ハイバックタイプ」も選択肢のひとつです。サイドファンの背もたれ干渉の少なさと、背面ファンの風の安定感の両方をバランスよく取り入れられます。
ハイバックファンの口コミはこちらの記事からご覧いただけます
サイドファンが向かない作業環境
粉塵・火花が多い現場
製造業や金属加工、農作業など、粉塵や火花が舞いやすい環境では、サイドファンの吸気口から異物を吸い込みやすくなります。特に溶接現場では火花の飛び込みによる損傷リスクもあるため、防護対策をしないままの使用は避けたいところです。
腰周りが常にふさがっている作業
腰袋、工具ベルト、大きなバックパック、除草剤タンクなど、腰周辺に常時荷物がある場合は、ファンが物理的にふさがれて風量が低下します。このような環境では、背面ファンや肩ファンのほうが効率よく空気を循環させられる場合があります。
前傾姿勢が長く続く作業
農作業や配線工事、低所作業など、前かがみの姿勢を長時間続けると、風の通り道が塞がれてしまい涼しさが低下します。この場合も、背面ファンの方が安定して風を送れる場合があります。
サイドファンのデメリットを軽減する工夫
防塵フィルターやカバーの活用
粉塵・火花対策には、ファンの外側に装着できる防塵フィルターやメッシュカバーが有効です。価格は1,000〜2,000円程度と手頃で、取り付けも簡単。消耗品なので定期的な交換が必要ですが、ファンの寿命を延ばす効果があります。
道具や荷物の配置を工夫する
腰回りの干渉は、道具を左右に分ける、腰ベルトの高さを変える、頻繁に使わない道具を背面に移すなどで軽減できます。
「どうしても干渉する作業」は、あえて空調服を着ない判断もありです。現場ごとの使い分けが、結果的に快適性を保ちます。
空調服サイズの見直し
ワンサイズ大きめを選ぶことで、空調服の内部に余裕ができ、風がよりスムーズに行き渡ります。これにより涼しさをキープできるだけでなく、腰回りの干渉トラブルも防ぎやすくなります。
サイドファンと他タイプの空調服を比較
背面ファンとの違い
背面ファンは腰の後ろ側に吸気口があり、背中全体に効率よく風を送れるのが特徴です。
椅子や背もたれに長時間もたれる作業では風量が落ちますが、粉塵や火花の影響は比較的受けにくいです。
一方、サイドファンは背もたれの影響を受けにくく、壁際や狭い通路での作業に向いています。
価格・寿命・メンテナンス性
価格は背面ファンとサイドファンで大きな差はなく、どちらもエントリーモデルは1万円前後から。
寿命は使い方や環境によりますが、粉塵の多い現場ではサイドファンの方がメンテナンス頻度が高くなりがちです。
背面ファンは風路がシンプルな分、掃除や交換がやや楽です。
まとめ|サイドファン空調服を選ぶ前に知っておきたいこと
サイドファンは、背面ファンにはない「背もたれに干渉しにくい」という大きなメリットがあります。
しかし同時に、粉塵や火花を吸い込みやすい、腰回りの道具や荷物と干渉する、姿勢によって風の流れが変わるといったデメリットも存在します。
これらの弱点は、防塵フィルターやカバーの活用、道具の配置見直し、作業姿勢の工夫などで大きく軽減できます。
現場の作業内容や環境に合わせて、背面ファンや肩ファンとの使い分けを検討することが、快適性と安全性を両立させるポイントです。
「サイドファンは不便」という声もありますが、使い方次第でそのメリットを最大限に引き出せるタイプです。
この記事を参考に、自分の現場に合った空調服選びをしてみてください。
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